09.発題-2


「キリスト教独立伝道会と平信徒伝道」

多田 義国

プロフィール
1946年島根県江津に生まれる。堤 道雄の初心者講習会『人生と宗教を考える会』に参加し、入信する。堤先生の紹介で政池聖書研究会の会員となり、現在、東京聖書集会会員。
キリスト教独立伝道会の発足時から運営員として聖書集会開催担当、会長、副会長等を歴任し、現在会計係を担当している。

 私たち無教会信徒は内村鑑三先生が提唱された無教会精神を内村先生が聖書の探究の中で示されたキリスト教の最も単純、純粋化された普遍的真理だと信じます。ですから私たちはこの無教会精神を誇りに思っております。そして無教会精神が普遍的真理であるなら書物などで永遠に残って行くでしょう。しかし心配しておりますのは、この真理であり、誇りである無教会精神を信じ、この世を生きる私たち無教会信徒の数が長年減少し続けていることです。この無教会信徒の減少傾向はわたしの若いころから始まっていて、今も続いています。若い人が入らず、高齢化が進んでいて、いつまで自分たちの集会が続けられるか心配になります。かつては多くの会員がいた有名集会も無くなっています。わたしの信仰の師である堤 道雄先生は「集会は、子供から成人、年寄りまで満遍なくいることが健全な姿だ」と言われました。その言葉からすると無教会の今日のあり様は健全とは言えません。無教会を誇りとする私としてはこの減少傾向を止め、出来たら増加させられないだろうかと考えるのです。昨日のキル吉 グァン廣ウン雄先生の資料の要旨「韓国無教会の展望」で“問題は、韓国無教会の皆さんが高齢であるという点である。90歳になられる方や80歳を超える方、比較的若い方と言っても60歳代初めであるのだから、後継者養成が大きな問題である。”と書かれており、韓国無教会の方々も同じ問題を抱えられていることを感じました。

 ではどうしたらいいか。無教会信徒の数を増す方法として第一に考えられますのが、伝道です。しかし、伝道で問題なのは現在の無教会はかっての内村鑑三先生の弟子たちのような知的にも人間的にも大きな二代目伝道者、そしてそれに続く三代目伝道者のようなカリスマ伝道者が出なくなっている。そうした状況の今日、私たちはどうしたらいいのでしょう。カリスマ伝道者がいないならわたしたち平信徒が小さくてもそれなりの能力で伝道して行くしかないのではないでしょうか。平信徒は力のない分助け合い、協力し合って伝道するのです。しかしそれは無教会の信徒を増やし教勢を張ろうと言うのではありません。真理である無教会精神に則った真のキリスト教を多くの人に伝え、真のキリスト者が増えることを望むのです。

 それで私は無教会の中でも平信徒が横のつながりを持ち、協力し合ってユニークな活動をしているキリスト教独立伝道会の活動を御紹介したいと思います。まずその由来を少し話しますと、キリスト教独立伝道会が出来ましたのは、無教会の独立伝道者堤道雄先生が伝道者の80歳定年を提唱され、それまでの先生の伝道を支える会であった「真理の会」を解散することを宣言されました。堤 道雄先生は「真理の会」を基盤として日本全国に伝道活動を展開され、韓国、台湾、旧ソ連にも友好のために何度も行かれましたが、日本全国に会員を持つ「真理の会」の会員としてはこうした伝道活動を失くしてはいかにも残念だということで、堤先生の伝道を継承しようと「キリスト教独立伝道会」を発足させました。最初は会の有力者の二人の方に堤先生が回られていた各地の集会へ分担して伝道してもらうことにしました。しかしこの方法はすぐ破綻しました。有力者の船頭が複数ではうまく機能して行かなかったのです。そこで出てきた考え方が伝道会の会員が全員伝道の意志を強く持つ。そして皆で伝道するという平信徒伝道です。伝道会は会長も聖書集会や講演会の講師も事務局、会計、通信担当その他の仕事をする人も上下なく大事な働きをしている伝道者だと考えます。会を運営する運営委員会も決して力を持つ中央主導的なものではなく、伝道会の活動や集会員の間を取り持つ言わば世話係といったものです。ではキリスト教独立伝道会とその活動についてお配りした資料でご説明させていただきます。

キリスト教独立伝道会(略称 伝道会 現在会員165名)の概要
キリスト教独立伝道会規約 
第二条 
本会は、キリストにある絶対的平和主義に立ち、十字架の福音を伝道することを目的とする。
第三条 本会は、前条の目的を達成するために、次の事業を行う。
 (1)講演会、講習会、青少年のためのバイブルキャンプの開催、図書出版、会報の発行等
の実施。
 (2)会員の伝道活動の支援。
 (3)その他本会の目的を達成するための事業。
憲法9条改憲反対の伝道会総会宣言
 「剣を取る者は皆、剣で滅びる」(マタイによる福音書第26章52節)
日本国憲法9条は侵略戦争の反省から生まれ、非戦、戦力不保持を述べ、神様からおくられた世界の宝と言えます。私たちは平和をつくりだすことに努力し、改憲に反対します。

伝道会の具体的活動

1、聖書集会の開催 毎年夏〈約35名〉、冬期(約60名)主題を決めて2泊3日の聖書集会を行っている。夏期は青少年バイブルキャンプも同時開催。以前は春休みに青少年バイブルキャンプを行っていたが子供の参加がなくなり現在休止している。

2、伝道活動 会では派遣伝道者を登録している。派遣伝道者を要望する集会はその登録者の中から希望者を選定し、運営委員会の了解を得れば会から派遣者の交通費、宿泊費の援助を受けられる。登録者でない人も事前に運営委員会の承諾を得れば入会者のいる集会及び個人宅に派遣の要望をすることも可能。但し派遣者か要望集会者は会報『通信』へ掲載するための内容報告書を提出する必要がある。

3、講演会開催 4月の総会時に伝道講演会。9月に平和講演会を主催している。

4、後援する集会、講演会等への金銭的援助 北海道瀬棚聖書集会。東京青梅、静岡清水クリスマス講演会。昨年度は東京聖書集会主催、政池仁召天30年記念講演会へも援助する。援助を受ける集会は伝道会の後援を受けていることを案内に明記し、集会後、『通信』掲載用に報告書を提出する必要がある。

5、会報『通信』を年3回発行 『通信』には会長の巻頭言、会の関係する集会、講演会等の案内やその講話、活動内容の報告。会員の声。入退会や住所変更者の報告。会計報告等の欄がある。またこれまで特別企画として入会者のいる集会、無教会関係の学校や寮の紹介などもしてきている。

6、キリスト教独立伝道会のホームページに活動報告等を掲載。現在、入会者のいる各集会の了解を得て無教会集会所全国マップを作製、掲載することを企画している。

7、会の宣伝文書として『入会のおすすめ』『独立伝道会ってどんな会』がある。
『入会のおすすめ』の中の案内文紹介。 “わたしたちは、キリストにある絶対的平和主義に立ち十字架の福音を伝道することを目的に、1998年4月より「キリスト教独立伝道会」を発足させました。福音の伝道はわたしたちキリスト者の使命です。福音の伝道が世界を愛と義と平和に導きます。福音の伝道に決まった形はありません。すべての人にその人だけの賜物があるように、すべての人にその人だけの伝道の形があります。キリスト教独立伝道会は、それぞれの会員がそれぞれの賜物に応じた伝道ができるように協力していこうという集まりです。この会にあなたも参加しませんか。”   以上。

 但し、キリスト教独立伝道会の活動は内向きの活動で、キリスト教を知らない一般の人を対象にした外向きの活動ではありませんので、無教会信徒を増すことに直接的に役立つものではないかもしれません。しかし、伝道は発信する側にしっかりした柱(核)となるものがないと出来ないと思います。この柱(核)になるものが無教会信徒個人のしっかりした正しい信仰と積極的で熱心な伝道心であり、また無教会のそれぞれの集会の礼拝、無教会系の学校や寮、今井館事業、この全国集会、各地の合同集会、韓国の無教会そしてキリスト教独立伝道会などの活動であると思います。こうした無教会の伝道の柱があり、それぞれの地道な努力活動が無教会を形成し、支え、今後も維持されて行く原動力になっているのだと思います。こうした活動が神様に存在意義を認められ、祝福されれば無教会はいつかまた脚光を浴びてその信徒数が増える時代も来るのではないかと私は期待しています。
 キリスト教独立伝道会の会報である『通信』が会場の入口のところに置いてありますので無料ですのでどうぞお持ちくださり、読んでいただきたいと思います。もう一度断っておきますが、キリスト教独立伝道会は無教会を組織化し、教勢を張ろうというものではありません。無教会がタコつぼ化していてはいけない。無教会エクレシアが横のつながりを持ち、真のキリスト教を伝道するために、ああしたらいいのではないか、こうしたらいいのではないかと思案しながら活動する会です。『通信』を読んで頂いて、もしよければ御入会くだされば幸いです。

入会問い合わせ 事務局 鎌田利治
〒252-0335 神奈川県相模原市南区下溝449-8 ℡/fax 042-778-0459